こんにちは、サウザンコミックスです。ただいま、イタリア生まれの大ヒットコミック『アルマジロの予言』の翻訳出版をめざすクラウドファンディングを実施中です。『ワイン知らず、マンガ知らず』発起人であり、イタリア語&カルチャースクール「TERRA」代表の京藤好男さんは、イタリア文化に深く精通されていらっしゃいます。
このたび京藤さんより、『アルマジロの予言』への応援メッセージをいただきましたので、こちらにも掲載いたします。ゼロカルカーレ作品の魅力について、わかりやすく紹介してくださっていますので、ぜひご覧ください。
プロジェクト終了まで残り1週間ほどとなりました。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお早めにご参加ください。
いま、イタリアで最も重要視され、世界中にその名を知られる漫画家といえば、ゼロカルカーレ(Zerocalcare)を置いて他にいないでしょう。彼の作品が持つ圧倒的な熱量は、単なるコミックの枠を超え、現代社会の歪みを映し出す鏡となっています。
彼のグラフィック・ノベル作家としての評価を決定づけたのが、絶賛クラウドファンディング実施中の作品『アルマジロの予言(La profezia dell'armadillo)』です。 本作は、自らの分身である主人公と、その「良心」の象徴であるアルマジロとの対話を通じて、徹底的に自己の内側を見つめる物語です。
ゼロカルカーレの魅力は、個人的な内省に留まらず、それが世界的な連帯へと繋がっていく点にあります。 シリア内戦時のクルド人支援活動に従事した経験に基づき描かれた『コバニ・コーリング(Kobane Calling)』は、国際的にも高く評価されました。 この活動は、世界的な名著『ペルセポリス』の著者であるイランの漫画家マルジャン・サトラピの目にも止まり、彼女が監修する「女性、命、自由」をテーマにしたアンソロジー企画への参加へと結びついています。現在、アメリカによるイランへの軍事的緊張をはじめ、中東情勢の混迷は深まる一方ですが、これらは私たち日本人の生活にも直接的に影響を及ぼしています。そのような時こそ、ゼロカルカーレの活動とその作品が、困難に向かう新たな視点を提示してくれるように思われます。
こうしたゼロカルカーレの作品の特徴は、複雑な世界の問題を「自分自身の痛み」として捉え直すヒントを示してくれること。彼が描く「抵抗」とは、誰かを打ち負かすことではなく、他者の苦しみに共感し、自らを変容させていくプロセスそのものであると言えます。いわば、その思想と生き様が、彼の作品には率直に反映されており、それが比類のなき魅力となっています。その原点と言えるのが『アルマジロの予言』なのです。
本作品にはこのような一節が見られます。
Non ha senso tentare di ritagliare la vita seguendo i trattaggi.
(点線に沿って人生を切り抜こうったって、意味などありゃしない)
「世の中が求める正解に応じて苦しむ必要などない。破れても、歪んでも、それがその人のままである方がいい」とでもいった信念は、まさに彼の作品群に一貫する姿勢に他なりません。そんな彼の骨太かつハートウォーミングな傑作が、サウザンブックスのCFを通じて日本語でも読めるようになることは幸運の財産と言えるでしょう。この『アルマジロの予言』が嚆矢となり、やがて彼の作品群が次々と翻訳されることを期待して、応援したいと思います。
TERRAイタリア語&カルチャースクール
代表 京藤好男
東京外国語大学イタリア語学科卒業。1995年 文部省派遣留学生としてイタリア国立ヴェネツィア大学文哲学部留学。東京外国語大学大学院修了。現在、慶應義塾大学、法政大学、武蔵大学、武蔵野音楽大学で講師を務めるほか、さまざまなメディアで講師活動をしつつ、ワインや食を始めとするイタリア文化の普及に努めている。訳書に『インタビュー オサマ・ビンラディン』、『リーダーは、ピーターパンの心を持って!』(共にダイヤモンド社)著書に『中級へのイタリア語文法』、『イタリア語を読む』(共に三修社)他多数。2021年3月からオンライン専用イタリア語スクール「TERRA」の代表を務める。